重厚な扉が開き、この国の重臣達が出て行く。
 ある者はこの国の第一王子の勇士を褒め称え、ある者は第二王子の聡明を賞賛する。
その声を聞きながら、
「ふぅ。」
 会議を終えたばかりの疲れと共のため息が出る。
「ご苦労様です。」
 声を掛けてきたのは、私の秘書をしている<シャルローネ・ギリー>
「この程度で疲れたとは言えんよ。さ、私達も行こうか。」
 書類の束を鞄に押し込み、立ち上がる。廊下は静まり返り、その先にも人影は無い。
 窓の外を見てみれば眼下には衛兵が市民と何か喋っている。
通りの先を指差している所をみると道を聞かれているのだろう。
「平和ですね。」
 シャルローネが呟く。
「そうだな。」
 目を上に向ければ、澄み渡る青い空に優しく降り注ぐ陽の光。
天高く鳥が風を纏っている。
「……もう一人の王子は、この空の下で何をしてるかな。」
「今日は詩人ですね。<ガナッシュ・シルバ>卿。」
 かつては<剣聖>と称された大臣は娘ともいえる秘書の言葉に照れていた。

「今日もいい天気だな。」
 手を翳し眩しげに青い目を細める男。
腰には剣をぶら下げ、薄手のマントを羽織っている。
少年というには大人の風格があり大人というにはまだあどけなさが残る。
その過渡期にある彼の名は、
「ちょ、っと待って……<ユイン>様ー。」
「様は止めろ、様は。」
 リュックを背負い追いかけて来る黒髪の真っ黒なスーツの男を待つ。
「こ、この荷物を見てください。私、頑張ってませんか?」
 リュックを見せてくるが、元はと言えば、
「だから俺も持つと言っただろう、ほら貸せ。」
「いいえ、ユイン様に持たせるなど出来ません。」
 勇ましくそう言って歩き出す。
「おい、<キカ>待て。」
「ユイン様、早く行きましょう。日が暮れてしまいますよ!」
 振り返り手招きをしているが、
「そっちじゃないぞ!」
 街道の先に黒煙が見える。
「アレ……急ぐぞ。」
 キカに声を掛けて先を駆ける。
「ちょ、危ないですよ!」
”リム村にようこそ”
通常ならそう書かれた門が旅人を出迎えてくれるのだろう。 しかし、今は違う。
 黒煙の下は悲嘆に暮れる人々がいた。
「何が……。」
 言い終わる前に気付く。
まだ燃えている小屋の消火に負われる人々、血に染まった門に突き刺さる折れた槍。
――野盗か。
 俺は倒れたまま動けずにいる人を泣きながら運んでいる様子をただじっと眺めるしか出来なかった。
追いついたキカに声を掛け、
「今夜はここで宿を取るぞ。」
 キカの顔を振り返らずに村の門をくぐる。
おそらくキカは心配そうに見ているに違いない。

 日も暮れたが人々は通りに集まっている。通りは明るいが空気を沈鬱だ。
救援に来た警備隊達が村周辺の警備や負傷した村人達を介抱している光景をあちこちで見かける。
 村の広場ではおそらく村長だろう人物が泣きながら名前を読み上げている。
「ユイン様……この村は狙われてるっぽいですよ。」
 キカが小声で話しかけてくる。
 だろうな。
日が暮れる前に村を見て回ったが、被害が遭ったのは多分食料を貯めていた所や武器等を置いていた所だけだろう。門から最短の道を駆け抜け真っ直ぐに向かっている。
そして、近くにある村や街からの警備隊の増援が来る前に略奪を終え去っている。
「この村の近くにある街ってどこになる?」
「えーっと、確か……。」
 頭の中に地図を思い浮かべる。
「「<レスケア>です。」ね。」
 微妙にハモったキカの声と女の声。
 声の主はお互いの顔を見合わせいている。
こんな状況で不謹慎かもしれないが思わず笑ってしまった。
「旅の人? 運が無いわね、こんな時に来るなんて。」
 悲しそうに笑う。
 俺達は何も言えず、ただ彼女の顔を見ているだけだった。
「着いたのは……。そっか、ヤツ等が来た直後だったのね。それだけでも運が良かったって。」
 ぽん、と肩を叩かれる。
「何も無い村だけどゆっくりしていってね。しばらくは来ないと思うから。」
 その言葉で、さっきキカと話していた事がそれほど的外れでは無い事だと分かった。
 村長の言葉が終わり、全員で哀悼を捧げる。
すすり泣く声が夜風に乗り悲しみを誘う。

 葬儀が終わり、宿に戻る途中で、
「そういえば、何も食べてませんでしたね。」
 キカの言葉に空腹を思い出し、
「子供じゃないんだから宿に戻るまで我慢しろよ。」
「分かってますよ。というか私の方が年上じゃないですか。宿に戻ってから食事にしましょう。」
 前を歩くキカの後ろ髪を引っ張る。
「ちょ、何するんですか、結構痛いんですから止めてくださいよ。」
 ふん、とキカを追い越していく。
 宿に着き食事を頼み、ついでに地図も持ってきてもらった。
食事が並ぶテーブルに地図を広げる。
主人も、今日でなく違う日であれば良かったのに、と申し訳無さそうに言ってくれた。
笑顔でそれに答え、食事を勧めつつ地図を確認する。
「キカ。ここに行ってみないか。」
 俺が指差したのは<ベルトシュラン城>と書かれた地点。
スプーンを銜えたままでキカは地図を確認する。
「ベルトシュラン城ですか? 特に見る所も無い……様です……がっ!」
 驚きの表情で俺を見ている。俺の目的に気付いたのだろう。
「ちょ、ユイン様。ちょっと冷静に考えましょう。いいですか、おそらく分かって言ってると思うのですがここはちょっと止めた方が良くないですか。
観光するにもただただ古いだけの城ですし、近くの村であるこの村を見て分かると思いますが間違いなく<ロキオン>が調べ尽くした後です。よって向かう理由は無いと思いますが。」
 <ロキオン>
神秘を追い求め、世界に散らばる古代遺産を調査研究している超国家組織。
ベルトシュラン城に近いこの村にロキオンがいないという事は、すでに調べ尽くした後だろう。
それにロキオンが駐在していれば、野盗が襲ってくる訳も無い。
 その理由はロキオンメンバーの持つ強さがある。
なんでも、観光客を遺跡に案内したり古代遺跡には神話時代からの罠や守護兵がいるとかファンタジー顔負けの出来事が起こるとかでその奥で危険を回避するために日々鍛えているそうだ。
学者風と侮ると痛い目に遭う。
それに、これこそ信じられないんだが……<魔法>を使える者までいるらしい。
火をつけた事に成功したとか、怪我を治したとか……どうにも信じられない話まで出ている。
 魔法はともかく、ロキオンってのは観光客を遺跡に案内したり未開の遺跡を探検したりするからある程度の強さは必要だから、駐在していれば野盗に襲われる事は無いって事だ。
金を落としてくれて無償で守ってくれる、村や街に取ってはこれ以上無い存在なんだ。
「分かった。俺一人で行くからお前はここで待ってろ。」
 コップの水を一気に飲み干し、席を立つ。

 月明かりも無い街道を歩く足音は二つ。
さっきまで、「引き返そう。」とか「危ないですよ。」と言っていた声は聞かなくなった。
「こっちから行くぞ。」
「そっちは藪ですよ?」
「だからだよ。正面から行ったら見張りが居るかもしれんだろ。」
「なるほど、勢いだけで向かうのではないのですね。」
「……ああ、当然だ。」
 キカは納得といった様な声を出す。
「しかし、警備隊は何をしてるんだ。アジトはベルトシュラン城位しかないだろうに。」
「ですね〜。野盗が強いかそれとも警備隊が弱いか……。」
「弱いっつっても少数だろう、近隣の警備隊が集まれば片付きくと思うけどな。」
「少数だからこそ、より弱いトコに奇襲を繰り返してるんでしょうね。」
「う〜ん。」
 普段はバカっぽいのにたまに鋭いことを言う。
「じゃ、警戒の弱いトコを突いてるって事は、しばらくは無いって言ってたのも頷けるな。」
「あの村じゃないって事は近くの村が襲われっ。」
 キカの口を塞ぎ、茂みにしゃがむ。
前方に足音が二つ。キカも気付いて目を凝らして見つめている。
どうやら、旅人では無さそうだ。
二人ともが剣を持ち、さらに、
「次の襲撃は……。」
「あの村はしばらく無さそう……。」
 などと時折笑い声が入り喋っている。
 くいっと服を引っ張られる。
見るとキカが心配そうに見ている。
 目を閉じ、ゆっくりと深呼吸。
落ち着け。逸る心を静める。そして目を開けキカを見る。
 剣を握り、目を二人に向けて一気に駆け寄る。
突然の足音に驚く二人。
野盗は剣を抜き放つが俺の方が速い。一人目の剣を跳ね上げて二人目に向かう。
二人目が剣を振り下ろす前にその無防備な胴に一閃。
確かな手応えを感じ、振り返るとキカが立っていてその足元には野盗が倒れている。
「流石です。ユイン様。」
「この状況で言うなよ。」
 まだ何か言おうとしているキカを置いて先に行く。
「照れなくてもいいじゃないですか。見事な剣技でしたよ。」
 足を止め、キカの元に行って、
「痛っ、何も叩かなくてもいいじゃないですか。」
「うるさい静かにしろ。ほら、行くぞ。」
 ぶつぶつ言っているキカを再び叩き先へ進む。
 
 ちなみに俺の剣は斬れないよう刃に安全の為カバーがつけてある。

「で、どうしましょうか?」
 どうにか城壁まで辿り着いた。
ベルトシュラン城は大きな城ではないがぐるりと囲んでいる城壁は侵入できる隙間などは無さそうだ。
見上げると、城壁が立ちはだかっているがそんなに高くなさそうだ。
「登るぞ。」
「ぅえ〜。」
 不満を漏らすキカ。
「危険じゃないですか?」
「正面突破よりはマシ。ほら行くぞ。」
 登りやすそうな箇所を見つけ、登っていく。
下からブツブツ言っているキカが俺の後に続く。

 運が良かったのか城壁には見張りはいない。
下を見れば明かりのついている建物が二つ。その間を見張りがうろうろしている。
「城といってもそんなに立派な建物は無いようですね。城というよりは砦って言った方がいいですね。」
「詳しくは知らんが、保養の為とかそんな感じなんじゃないのか? 近くには湖とかあるそうだし。」
「なるほど、ユイン様の洞察の深さには。」
「うるさい、無駄口叩いてる暇があったら動け。」
 じろっとキカを睨むと、不満そうにしているかなと思ったら意外にも満足そうな顔をしていた。
「……なんだその顔は。」
 なんとなくイラッと来たので頬を抓る。
「痛っ、何するんですか!?」
「ばっ。」
 咄嗟に口を塞ぎ、頭を押し付ける。
 そのまま気配を探る。
 ……。
風が流れていく。顔を上げて下方を確認する。
状況は変わっていない。その事に安堵する。
「まったく、少しは状況を考えろ。」
「そ、そんな事言ったっていきなり……。」
「あーあー、悪かった、ほら、行こう。」
 足音を忍ばせながら階段へと向かう。
 
 俺達が立てた作戦は、まず武器を保管してる箇所を閉じてから頭を叩く時間を稼ぎその間に決着をつける。その後に反抗してくる者を叩く。
「以上だ。」
「かなり危険な気がしますが。」
「変更は無い。武運を祈れ。」
「武運は祈ってもらうものじゃないんですか?」
「気にするな。行くぞ。」
 階段を降り、物陰に隠れる。見張りが近づく程に緊張が高まる。
剣を握る。キカに目で合図し……見張りに飛び掛る。

 見張りを物陰に隠し、一番大きな屋敷の物陰に隠れる。
「で、何処が武器庫なんでしょうか?」
 キカの言葉に重要な事に気付いた。
「よし作戦変更だ。俺はこのままこの中に進入する。お前は武器庫を探って武器を使えなくして来い。」
「え、ちょ。」
「手段は任せる。出来ればリム村や他の村や街にも見える様にすれば尚良いぞ。それを見た警備隊が来るかもしれないからな。健闘を祈る。」
 キカをその場に残し、俺は屋敷に侵入する箇所を求めてその場を離れた。

 ふぅ、なんとか侵入成功。
まさかキカに作戦の穴を指摘されるとは……奴を侮っていたな。
俺も薄々感じていたが……まぁ、いい。結果的に野盗を壊滅させれば作戦の穴など気付かれないさ。
そう納得させて屋敷の廊下を歩く。
 剣を握りいくつかのドアを通り抜ける。一応確認するが特に変わった事は無い。
 となると……二階か。大きな玄関ホールに人影が二つ。
廊下の影に身を潜めて隙を窺う。
 距離はあるが……いつまでも隠れてる訳には行かない。
頭の中に、今日見た光景が浮かぶ。それらが怒り悲しみという感情に変わる。
静かに息を吸って吐く。
『感情を無理に消すのではなく受け止めろ。そうすれば感情の暴走を抑えられる。』
 そうですね。師匠。
二人がこっちに雇用とする瞬間に俺も物陰から飛び出した。

「ふぅ、こんなモンでしょう。」
 勢いよく燃え盛る小屋。
「そこで何をしているっ!」
 駆ける複数の足音。振り向き様に腹部に肘を撃ち、前かがみになり無防備な背中に一撃。
別の男の攻撃を避けてその勢いを活かして蹴り飛ばす。
「まだ居るのですか。」
 三人目はじっとこっちの動きを見ているが、止まっていてはこっちが危険になる。
一気に間合いを詰め拳を撃ち抜く。
「さて、ユイン様の所へ行かないと。」
 怪我でもされたら面目が立たない。

 二人を倒したら地響きが来た。
起きるかと思ったが、起きることは無かった。
玄関の鍵を掛けて取っ手に剣を通してカンタンには開かないようにして外から来る雑魚を足止めする。
ま、気休めだろうけどな。
「何の騒ぎかと思ったら。」
 階上からの声。
見上げるとそこには『いかにもリーダー』『見るからに野盗』という雰囲気を纏った男が立っていた。
その後には二人のお供だくっついている。
 俺の足元に寝ている二人とは違う威圧感。
「誰かは知らないが、ここを何処だか分かっての事だろう。」
 手には剣、ゆっくりを階段を降り剣を抜く。
「ベルトシュラン、だろ。」
「ふざけた奴だな。」
 階段を跳び迫ってくる。ホールに風が舞い剣が鳴り響く。
まともに受け止めると別の剣が襲ってくる。
まずは数を減らさないとな。
 意識をリーダー風の男に向ける。その瞬間無防備になった背中から突進してきた男を振り向いてその剣を弾き飛ばす。
俺の反撃に驚いた男に追い討ちをかける。
肩に剣を突きたてそのまま壁にぶち当てる。
悲鳴と共に肩を押さえのたうち回る男。騒がしいのでトドメを刺す。
すぐに剣を構え直し向かってきていた男と正面からぶつかる。
一瞬の接近。弾き飛ばし体勢を崩した所を薙ぎ払う。
「さて、後はお前だけだ。」
「ふん、調子に乗るなよ?」
「乗るほどの事じゃないさ、この程度。」
 赤く染まっていく顔。怒号を上げて向かってくる。
俺は逃げずにその勢いを受ける。ずっしりとした衝撃が両手に走る。
「馬鹿力め。」
 一歩退いて距離を取る。が、すぐさま横薙ぎ一閃が来る。その剣閃を受けずに流してさらに一歩退く。
 どーん。
と窓ガラスを響かせる轟音。
そして、窓ガラスをバンバン叩き、
「ユイン様! やりましたよ!」
 バカ、いやキカ登場。その背後からいくつもの足音が聞こえてくる。
追いついてきた一人を殴り飛ばし、もう一人を放り投げる。
「あ、じゃユイン様。後程!」
 足音とは反対の方へと走っていくキカ。
「手前ら……タダで済むと思ってないだろうな?」
 殺気が増す。
「アイツは俺より強いぞ?」
「お前を人質にすれば楽さ。その逆もな。」
「無理な事は言わない方がいいぞ。自分の価値を下げるだけだ。」
 さて、息を整えよう。
冷静になれば勝てる相手だ。というかこんな奴に負けたら師匠に申し訳が立たん。
 俺から距離を詰め撃ち合う。
火花が散り互いの息遣いとステップを踏む足音だけの空間。
ガラス一枚向こうの喧騒が別世界の様に思える。
 剣を振るう度に乱れる息遣いが手に取るように分かる。
「終わりだ。」
 そう告げた瞬間剣を弾き相手の腕を強打。
剣を落とし掴もうとした時にはもう遅い。
自らの敗北と顎を砕かれる痛みとを理解し空を舞っていた。


「さぁ、帰るか。」
「ですね。これでこの辺りも平和になるでしょう。」
「だと良いけどな。」
 残った野盗を黙らせてたら、まさかの警備隊突入。
俺達は慌てて逃げ出し、藪に隠れながら街道まで戻ってきた。
「もうすぐ夜明けですよ、宿に戻ってサッパリしてから寝たいですね。」
 東の空が白く染まっていく。足を止めその夜空と朝日の境目を眺めている。
「というか、チェックアウトじゃないか?」
「……いや、もう一泊していきましょうよ。徹夜で歩くのはちょっと……無理デス。」
 分かりやすく肩を落とすキカ。どこまでも自分に正直な所が見ていて面白い。
「ま、俺もそれはイヤだ。さっさと帰って風呂入って飯食って寝るか。」
 両手を突き上げ体を伸ばし、息を吐く。
「あ。」
「どうした?」
 空を見上げていたキカが指差し、
「流れ星が!」
「何か願え。敵うかもしれんぞ。」
「ちょ、『王子』うるさいですよ! ……はわっ!」
 キカにドロップキック。そのまま転がりどこかへと落ちていく。ぼちゃん、と音がしたが気にしない。
「王子って言うなっていつも行ってるだろ! ……聞かれなかっただろうな。」
 俺は辺りを見渡すが、早朝の為誰も俺達の周りにはいなかった。
「……キカはどこまで飛んでった?」
 さっき聞こえた音の方へ向かうと小さな池の中にずぶ濡れの音が一人泣きそうな顔で俺を見ている。
「お……ユイン様、こrはちょっとヒドイと思うんですが。」
 恨めしそうな顔が胸に刺さる。が、笑えてくるのは何故だろう。
「悪かった悪かった。ほら。」
 手を差し出し、キカはその手を握り返して……、
俺を池の中に引きずり込んだ。
「これでアイコです。……うわっ!」
 勝ち誇ったキカに思いっきり水を掛ける。そして、そのまま小一時間ほど水を掛け合い村へと戻った。

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